絶世

重複精神障害の闘病と日常と幻想を綴る

媚びは愛嬌

おはようございます。花奈です。

 

私は、職場の上司とよくぶつかります。

団塊世代、高圧的で、利己的で、支配的な男性です。セクハラパワハラ紛いのことは日常。でもそんな人とも上手くやるのが仕事。

 

元社長ですが、わけあって今の仕事をしている人です。案の定、自尊心が高く、柔軟性はありません。しかし世には、上司が上手く動いてくれなければ、下が困るということが沢山あります。能力ない上司に付き従ってるだけでは自分も潰れるのです。どうしたら上司に上手く動いてもらえるか、考えるのも仕事。

 

 

私は昔から"媚び"というのが一切売れません。「能力が高くても、媚びが売れなければ、世の中では悪目立ちをするのよ」とよく歳上のお姉様方に言われます。

 

男性優位、年功序列

 

私が苦手なもの。

そんな世界から遠いところで幼い頃は育ちました。

 

長く居たスポーツの世界では、結果の数字が全てです。媚びを売っても自分個人の結果は変わりません。また、女性が男性を抜かすことも平気であります。スポーツといえども、途中まではやはり女性は努力で男性を越せたりするのです。強いものが1番偉い。潰されたくなければ速くなれ。そんな世界でした。

 

それは勉学も同じ。

学校のクラスでも一匹狼や幼馴染と2人きりの単独行動がメイン。女子同士の争いや、男性に対してモテることを意識したことはありません。自分よりも勉学もスポーツも出来ない人に時間を割くほど私は暇ではない忙しない幼少期を送ってしまったのです。

 

しかし、それこそが社会性を育てる必要な能力でした。

社会では成績が高いことをいい事にするための工夫が必要で、ただ数字が叩き出されれば評価されるものではなかった。

 

媚びと愛嬌と社交性。

疎まれない目立たない力。

「愛嬌という名の媚びを使いなさい」

「女を使いなさい」

 

と、何度言われたことでしょう。

それが自然に出来ない私はこの歳になっても、潔癖的な嫌悪感と闘いながら、社会に溶け込むのに必死になっています。

 

女性性を使うことが、仕事でマストと言われたら、摂食患者の私はどうすればいいの?

 

毎日毎日考えます。

努力したところで、やったことがない私にはどうすることが媚びで女性性なのか分からないのだけれども、出来た方が余程楽だろうと思える事件には多々遭遇するものです。

 

どうやっても男性に湧き上がるこの恐怖感や嫌悪感。察しやすい圧力。「屈し汚れろ!」と言われながら頭を地面に押し付けられ、泥水を飲まされているのと、何ら変わりを感じません。

 

「他の女性は汚れてると言いたいの?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではなく、自分には何か汚れてはいけない恐怖のシルクのようなものが身体に纏わり付いているのです。

 

それをすれば社会に馴染めるのですから、出来ることなら、やりたくて仕方がありません。羨ましいと思い続けています。

 

しかし、やり方も分からなければ、それに何故か恐怖感や嫌悪感までついてくる。

 

父が発するあの圧力を彷彿とさせます。

 

男に付き従わなければいけなかったこと。女にならないことを求められ続けたこと。

 

 

社会の仕事というものはどうしても私の苦手なものをフラッシュバックさせる。

 

息を殺して、都合よく笑って、お話をして、でも大人の女にはなってはいけないよ、と私に刻み込まれたコレは、いつ消えるのでしょう。

 

偉い人って何がえらいの?

偉ければ、人をゴミのように扱っていいの?偉ければ、頭を下げられるの?偉くなるのに何をしてきたの?偉くなるのに何を満たされてきたの?偉くなるのに自分でしたことって何?

 

 

偉ければ、強ければ、弱い人を傷付けてもいいんだ。私には、偉いは汚いに見えてしまいます。

 

本当に尊敬出来る人は、高い地位にいても、「偉い」と表現されないような雰囲気を持っているのです。力を誇示することが、私にとっての偉いの定義になります。ですが、大抵の人間は力を持てば誇示するのです。そうしてまたさらなる高みに上がる事に執念を燃やし、上ばかりを見て、自分はもう下には行かない、下にいるのは何かが足りないからだ、と言うのです。

 

私はそういう方々の耳元で囁きたい。

「貴方はたまたま"何か"を持っていただけで、たまたまその高さにいるのだとしたら?」

 

その人達の人生から、その他によって与えられたとも言える"何か"を一度外してみてみましょう。そうして、もう一度人生を歩み、同じ高さに辿り着けたなら、それはきっともう充分自分の力を信じられる、他人に誇示しなくてもいられる人間なのではないでしょうか。

 

そういう他人が、ただ運が良かっただけで人を踏み潰しているように歪んで見える私は、日々薬を飲み、社会に十二分には馴染めない笑顔を作るのです。

 

自分の中の何かを殺して。