絶世

重複精神障害の闘病と日常と幻想を綴る

春風に乗ってやって来た

おはようございます。さいきです。

 

私には運良く友達がいます。

私には出来過ぎた、とても素晴らしい優しい穏やかな人達です。

 

*H

まず、Hという幼馴染が居ました。生まれた時から母親同士が友人で、一緒になることが多かったパターンです。幼稚園も違いましたが時々顔を会わせる女の子で、小中を一緒にします。小学校は6年間一緒に過ごしました。とても自由でアーティスティックな子。そして人に好かれる魅力的な子でした。私は後について回っていただけで、その子の唯一無二かと言われれば、今でもよく分からない。Hには沢山の友達がいるけれど、私はひとりぼっち。私が後ろについて回っていて、時々「邪魔!」とされるような、関係でした。なにぶん幼い頃から顔を見てるので、本気の拒否を受けなかったのです。これがとても大きい。

でも気分にムラのある子でした。

それもこれだけ長く付き合うと、馴染んできてしまうものです。今は連絡もまばらでどこにいるのか何をしてるのか大体はよく分かりません。でも神出鬼没でひょっこり顔を出す、不思議な少女のままなのです。

 

*S

Sちゃんとは幼馴染で、小学校入学の6歳の時に出会いました。そこから高校3年生まで全て同じクラスでした。実は小学5年生まではそこまで接触が無かったのです。出席番号が前後だったり、マラソン大会の順位がいつも隣だったり、何かと近くにいました。でも彼女は極めて大人しく、1,2年生の頃は声が小さくて、聞いたことが殆どなかったくらいです。

一方で私は案の定浮いていました。3,4年生時点で友達を作ることを諦めました。あまりに人に気を使ってしまって、相手が不快感を感じたと分かった瞬間自分から離れてしまうのです。人の感情に物凄く敏感でした。作り笑顔と空元気というのを覚え始めました。つらいけれど1人でいることに慣れることに専念し始めました。時々Hの後ろを追い掛けてみたりもしますが、友達の多さと社交性に圧倒的についていけなくなって、結局1人でポツンとしているのでした。

ある時、何かの御礼だったのでしょう。お手紙を書いたのです。Sちゃんが私にか、私がSちゃんにか。

それは文通となって続きました。

相変わらず大きくなってもお互い学校ではそこまで口数が多くありませんでした。ぼんやりと空気感で話しているような感じでした。お手紙の方が饒舌で、そして2人とも温厚でした。

特に深い話や色んな事情を事細かに話し合ったわけではないのです。

これはもう時間と素の性格だと思います。

不思議なことは彼女からこちらへの怒りや悲しみや不快感を感じたことがないことです。極めて敏感な私が唯一感じたことがない人間。なにぶんSはとても女の子らしく可愛い。年齢が上がるにつれ、クラスのマドンナになります。私はそこにつく無口な男の子っぽいボディガードで、彼女を狙う男子は決まって私のことを邪魔だと言いました。

私には分かりません。

どうして彼女が私と一緒にいてくれたのか。クラスのマドンナはどうして孤立しがちな少女の私と一緒にいたの?

きいたことはありません。

 

でもある時彼女は言いました。

「みんなはさいきが強くて私が弱いと思っている。けれど本当は逆で、さいきは強そうに見えて弱くて繊細なのよ。私は弱そうだけど実は強いのよ。2人で1人、目に見えないように補い合っているのよ。」と。

 

護ってきた筈の彼女に、護られているのは私でした。不思議です。

どうして隣にいるのか。どうして話さなくても色んなことが伝わったのか。

そんな彼女がもうすぐ、結婚します。

 

*C

Cちゃんはもともと中学の頃に、Hの友達としてやってきた子でした。私もSもシャイだったのでその場に居合わせることが多いという印象でした。何しろHが台風の目で、目の前を通り過ぎていくので、その風に乗ってCちゃんはやってきたのです。

Cちゃんはシャイで照れ屋です。

 

高校生になった時、私達はHと別れ、私とSとCちゃん、3人が同じクラスになりました。田舎の自然エスカレーター式から一変した知らない人々の数。私達は3人でぎゅーっと丸くなっていました。

時々私以外の2人がお友達をつれてきたりしました。私は相変わらず1人か、その2人の後ろで絵を描いていました。

 

どうにも2人以外に馴染めなくて怖かった。その頃にはもう意識をして人が怖いのだと思うようになりました。SとCちゃんだけからは攻撃性を感じませんでした。ただ昔からの空気のようでした。後ろで静かにしていようと思っていました。そしてCちゃんは、Sと私の補完し合う特殊な関係と、私の弱さを初めから分かっていて2人を護るようなポジションに居ました。いつも、分かっているよとばかりに、Sのほっぺをふにふにして、私の頭をポンポンとして、ちょっとぎこちなく笑うのです。饒舌じゃないけど愛情を感じる、父性のようなものを放つ人です。ちょっと離れて見ているような、でも隣にいるような。社交性に溢れているように見えないのに沢山お友達がいます。憎めない、みんながちょっと好きになるような、陰ながらみんな仲良くなりたいと思っているようなシンプルでかっこいい人です。

 

*A

そんな高校時代、静かにしていた私の背後に台風2号が現れました。

Aです。

猪突猛進という言葉がピッタリなのです。

何もしていないのに、何も話していないのに、というか寧ろ逃げているのに!Aは兎に角追ってくる追ってくる!

「さいちゃん可愛い!お友達になって!お友達になって!」Aは結局びっくりしてダッシュして逃げる私を追い続け、ついには捕獲され、なぜか分からないけれど、今もなおずっと愛を叫ばれています。裏表がなく、攻撃性もなく、根っから愛を叫ぶ子なのでした。

 

実はどの子もとても繊細で、話し下手だったらしいのですが、それはあとから気付いたりきいた話し。彼女達はその中でも1番隅っこに隠れている私のヒーローでした。

 

簡単に言えば、繊細な人間がただ、集まりました。

 

そこから去年の今頃、Mが来るまで、私に新しい友達はいませんでした。頑張っても知人。Mのことはまた後で…。

 

 

彼女達は、今も昔も結局とても不自由で苦しんだ私の人生の中の、唯一の光であり、宝。そこで人生の運を使い果たしたのだと言われれば、何となく納得して、「それも悪くないな」と思えてしまうくらいの。

 

私はただ純粋に、彼女達の根っこの清らかさと美しさに心底惹かれています。

私の人生に彼女達を越すものはないと思える、愛してやまない存在なのです。